2010年9月20日月曜日

Reims

1988年1月、僕はフランス、シャンパーニュ地方の街ランスにいた。64,boulevard Henry Vasnier 51100 Reims その後この住所を数えきれないくらい書くことになる。ランスに到着した時には想像もしていなった。ミシュランで星を獲得しているフランス中のレストランへ片っぱしから手紙を書いたからだ。次の仕事を見つけるためだ。貪欲だった。

ランスについて語っろうと思ったら数えきれないくらいの話題がある。そもそもランスはフランス有数の観光都市だ。シャンパーニュのメゾンが沢山あるばかりでなく、あのジャンヌ・ダルクがシャルル七世を戴冠させた大聖堂がある街としても有名だ。

僕はシャンパン・メーカーのPOMMERYが所有する「Les Crayeres」というシャトーの敷地内に住んでいた。当時ミシュランで3星だった「ボワイエ」で働くためだ。住んでいた、というよりもシャトー・レストランに住み込みで働いていた。休暇の日には良く街を歩いた。ボワイエから外にでると目の前がPOMMERYのシャトー本社と地下には広大なカーブだ。東隣がRUINART、西隣がTAITTINGER、北隣がDEMOISELLE VRANKENでその向こうがVEUVE CLICQUOT PONSARDIN、街へ行く途中にG.H MARTEL、ランスの駅前にはDE CAZANOVE、そしてG.H. MUMMが見える。何と恵まれた環境に身を置いていたのだろう。隣街のエペルネにはMOET & CHANDON、POL ROGER、DE CASTELLANE、MERCIER・・・、数えきれないくらいのメゾンが連なる。

大聖堂にも良く足を運んだ。カテドラルの内は静かだ。ひざまずき、祈っている人がいる。蝋燭に揺らめく炎を見つめながら色々と考えごとをしたものだ。裏腹に僕自身は熱かった、静粛とは程遠い戦場の様な調理場で毎日戦っていた。

「初心忘るべからず」毎日自分に言い聞かせている。本当に熱かったあの頃を思い出して。