料理人はみな、天の陽と流れる水、そして作物を実らせる大地の土を素材から感じ取る。そして剣や火、光を使って生命の容を変え、ものを食べるという人間の根源的行為を収束させようとしている。
僕は日本人だから料理そのものをシンプルにプリミティブに追及しようとするととても東洋的な秩序で思考している自分に気がつく。
事実日本料理は切り方や盛り付けなどに陰陽五行説と深い関わりを持っている。
海や山、大木や岩、大石などは昔から信仰の対象となってきた。きっとそこには魂が宿っていると信じられて、人々の心の支えになってきた。パワーストーンなんかもそうなんだろう。
レストランの3階部分には僕達が大切にしている部屋ある。そこにはとても長いあいだ水の流れや風にさらされて丸くなった大きな石積みと大木のテーブルが置いてある。とても落ち着く部屋なんだ。
ここで、考える。
天陽、水流、土実、剣裂、火光、木石、海塩、生命。
そしてすべてに感謝することを。