2011年11月14日月曜日

Navet

僕は「蕪」とか「大根」、「ラディッシュ」などの類がとても好きだ。だからお客様にお出しする料理にも使うし、自分でもよく食べる。

東京に暮していた時はスーパーマーケットにいけば「必ず売っている物」と意識することもないぐらい一年中必ず売っていた。冬場、寒くなると土の中の「大根」や「蕪」は自分が凍ってしまわぬよう、自らの糖度をあげて身を守る。だから寒の時期は甘味や辛味のバランスが整ってきて美味しいのだ。

香川県では夏に「蕪」がスパーマーケットに並ぶことは決してない。10月から3月くらいの期間だけだ。「大根」は日本人の生活に欠かせない食材らしく夏でも遠くの産地の小さなものがほんの少しだけれど売られている。

東京は僕の生まれ故郷だから好きな街だけれど、何か大切なもを置き去りにしてしまっているのかも知れない。

僕は立ち止まって後ろを振り返り、光をかきわけ、目を凝らし、ずっと遠くを見つめてみた。夕焼けの中を一人で泣きながら歩く、僕がいた。