2012年2月9日木曜日

Bibliographie 20 [Cooking for Geeks]

「Cooking for Geeks 料理の化学と実践レシピ」 Jeff Potter著 水原文訳

ISBN978-4-87311-509-2

オイラリー・ジャパンから2011年9月26日初版第1刷発行、12月5日初版第2刷発行。

実際に手にとっていただかないとこの本の「面白さ」を上手く説明出来ないんだけれど、面白い。まえがきの冒頭に「ハッカー、Maker、プログラマ、エンジニア、オタク、技術屋などをGeekギークと言うことにする」とある。ギークとは一昔前の日本の俗語でいうならば「オタク」という意味としている。

最近の料理人たち(僕を含む)の「料理のサイエンス」ブームを「本当の専門家」たちが揶揄しているのかも知れない、と思ったらちょっと笑える。本気で遊んでいるからだ。

「タンパク質が機能するため必要な3次元の立体配座が熱や酸により破壊されることをタンパク質の変性と呼び、肉に含まれるタンパク質ミオシンはおよそ122°F/50℃で変性し、肉に含まれるもう一つのタンパク質アクチンはおよそ150°F/65.5℃で変性する。たいていの人はミオシンは変性するがアクチンは変性しないように調理された肉を美味しいと感じる」
(本書参照)

と、この調子と遊び心あるエピソードなどを加えて構成している。

「調理=時間×温度」から表面温度と中心温度の温度勾配、そして美味しさに大きく影響する表面のメイラード反応との関わりなど分析的に多くの変数を示しながら記している。かと思えば2本のフォークにそれぞれ電極をつけて「LEDを指し込んだホット・ドック」の両端に刺し、電流を流してLEDを発光させたりしている・・・。

兎に角、とてもお勧めの一冊です! → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → → →