「料理におけるメタファーと詩学」(1)
我々のレストランには「ア・ラ・カルト」がない。
ご予約の時点であらかじめムニュ(コース)をお選びいただいている。
内容は全てお任せの「カルト・ブランシュ」だ。
今のところお客様がご来店されたら小さなメニューをテーブルに置いている。
そこで更に何か新しい文書のプレゼンテーションの方法を模索している。
メニュー・カードを置く、以外の新しい方法でだ。
レストランで料理をプレゼンテーションしたり実際に提供したりするとき、まずメディアを利用して文字情報を伝えておいたほうがより我々の意図を伝えやすい。
この時のメディアはだいたいの場合、「ムニュ(メニュー表)」ということになるのだがここで「仔鳩のロースト」と書いてあれば、お客様の体験値の中での「仔鳩の料理」を何となく想像されるに違いない。
しかしメニューの書き方はもっと違ったアプローチもあるのだ。
同じ鳩の料理でも僕は以前から好んで「飛躍する仔鳩」という言葉を使っていた。
更に「世界一美味しいフランス、ブレス産 ”飛躍する仔鳩のロティ” もも肉のコンフィ、ピノ・ノワールのソース」
のように色々な形容や修飾を取り入れ、更には少し専門的なフランス料理用語あえて用いて雰囲気をだす。言葉は盛り付けにも大きく影響してくる。
仔鳩は飛躍させなければならないからだ。