「料理におけるメタファーと詩学」(4)
料理や料理人には色々なカテゴリーがある。
レストランの業態も様々だ。
その組み合わせもあるのだから本当に多様だ。
フランスの地方料理に根差した共通認識のある料理をまっとうに表現しようとしている人。クリエイティブな表現をしたい人。
両者は対極にある。
新しい理論や技術が生まれ、それを可能にする方法や道具、情報を積極的に採用するのか、既存の技術に職人的な磨きをかけるのか、という考え方の違いが存在する。
料理をまず言葉で表現するのとしないのとでは実際に出された料理に違いがでる。
「井上さんが香川の大地で育てたトマト」
とまず伝えたら出てきたトマトに対する意識が違う物になるからだ。
「フランス、シャラン産鴨胸肉のロースト」とか
「香川の地鶏、讃岐コーチンもも肉の豚足詰め」のように産地や調理法の提示でも差異はあるのだ。
料理にはいつもテーマがある。何を伝えたいのかによって言葉や形の表現が決まってゆく。