2012年6月13日水曜日

NEWS PAPER

たった一つの会社、たった一人の料理長のために長く親しまれてきた料理と食文化が日本で消滅しようとしている。


料理を造る上で一番重要なこと、それは安全であるということだと思う。美味しいかどうかなんて、選ばれた安全な食品で清潔に造られた、という前提のもとに語られることだ。


河豚を調理するには国家資格が必要だ。生かきを提供するのはそれほど厳格に管理されていない。鮮度に関係なく起こるSRSVだってあるのに、だ。そもそも飲食店の営業許可に関する認可や認可後の行政の管理はそれほど厳格なものではないように感じる。集団調理だけが危険な訳ではないのに。それ以外だってハイ・リスクな食品は沢山ある。野生の鹿肉のカルパッチョのような料理を本で見たことがある。勿論、料理にもよるが鹿の肉の中心温度を65℃以上に上げて5分、6分と加熱する料理人は少ないのではないか?寄生虫のいる魚介類だっていくらでもある。


でも、まともな料理人なら皆知っている。だから肝炎を発症したとか、食虫毒なんてめったに聞かない。
我々の調理場でも例えば比較的低温で調理され、取扱の難しいフォア・グラのような素材を取り扱う時は、人の手の消毒なんかは勿論のこと、調理器具、容器、保存温度、云々・・・、と厳しい取り決めのもと、調理する。当たり前だ。


いい加減な管理、取扱をすれば、重大な事故や重い症状につながるかも知れないリスクはどんな料理にだってある。僕は料理人として、何故一つの食文化が日本から消滅しなければならないのかを考えなければならないと思う。