2020年4月29日水曜日

villa AiDA

villa aida 自然から発想する料理


僕が知る限り日本最高峰の料理人の一人。

彼の料理を食べずして料理における「クリエーション」「イノベーション」を語るなかれ。

Amazon.co.jp >>> villa aida 自然から発想する料理



単行本: 224ページ
出版社: 柴田書店 (2019/7/1)
言語: 日本語
ISBN-10: 4388063053
ISBN-13: 978-4388063055
発売日: 2019/7/1
商品の寸法: 25.7 x 18.2 x 2 cm

2020年4月28日火曜日

Metaphor 5

「料理におけるメタファーと詩学」(5)

(僕の)料理には必ずテーマがある。

作り始める前から細かいディティールまで決まっている。

その到達点にもってゆくにはどうしたら良いのかを考える。

目標がはっきりしているのだ。

僕には行き当たりばったりで良いものを作ることができない。

何を伝えたいのか、何を描きたいのかをはっきりさせてから作業にかかる。

料理の形にも比喩がある。

水辺の風景や草原の風やきらきらと輝く海や太陽、そんなものを連想できる情景を形にしたい。

それを補完する言語を豊かに奏でるために僕は今、何をしたらいいのかいつも考えている。

2020年4月27日月曜日

Metaphor 4

「料理におけるメタファーと詩学」(4)

料理や料理人には色々なカテゴリーがある。

レストランの業態も様々だ。
その組み合わせもあるのだから本当に多様だ。

フランスの地方料理に根差した共通認識のある料理をまっとうに表現しようとしている人。クリエイティブな表現をしたい人。

両者は対極にある。

新しい理論や技術が生まれ、それを可能にする方法や道具、情報を積極的に採用するのか、既存の技術に職人的な磨きをかけるのか、という考え方の違いが存在する。

料理をまず言葉で表現するのとしないのとでは実際に出された料理に違いがでる。

「井上さんが香川の大地で育てたトマト」
とまず伝えたら出てきたトマトに対する意識が違う物になるからだ。

「フランス、シャラン産鴨胸肉のロースト」とか
「香川の地鶏、讃岐コーチンもも肉の豚足詰め」のように産地や調理法の提示でも差異はあるのだ。

料理にはいつもテーマがある。何を伝えたいのかによって言葉や形の表現が決まってゆく。

Metaphor 3

「料理におけるメタファーと詩学」(3)

ビストロの業態で「ラタトゥイユ」と書いたら絶対にラタトゥイユの想像範囲を超えた料理を出してはならない。

しかし料理のイメージを喚起する意味で「プロヴァンス風」とか、もうすこし飛躍した表現で「太陽のラタトゥイユ」というのはよいだろう。

料理自体に持たせた個性、例えば普通ラタトゥイユに入れないような物を添加したとか、
何かを特に強調した部分があるのなら、それはむしろ食べてに伝えるべきなのだ。

オーソドックスな共通認識のある料理名を使う時のルールだと思う。

しかしレストラン自体の性格がクリエイティブであって
お客様もそれを認識している場合はそれを逆手にとった表現も可能だと思う。

当たり前の名前えをあえて告げてそれを裏切るという手法。

オードブルの盛り合わせのように構成要素が多いうえに、
一体となった料理としての体を持たないプレゼンテーションを行う時は「秋の訪れ」とか「季節の贈り物」という表現もよい。

ただしこのようなケースでは必ずサーヴィス・スタッフの言葉での補完が必要になる。

僕は今、この部分にデジタルを取り入れられないかと考えているところだ。

Metaphor 2

「料理におけるメタファーと詩学」(2)

料理を想像させるためのツールとして一般的なメディアはメニューだ。
まだまだ蝋細工だって見かける。
そういえばかつてお節料理の蝋細工のサンプルを作ったことがある。
百貨店に依頼されてデパートに並べるためだ。
蝋細工があるのとないのとでは売り上げが違うそうだ。

メニューの場合、ファミリー・レストランなど業態によっては写真入りで料理やコースの内容を表示しヴィジュアル化している。
情報をより正確に速く伝えるためにはとても良いのだろう。
しかし僕たちはそもそも正確に情報を伝えることをメニューを書く目的としていないのだ。

「今朝の魚河岸から 瀬戸内海で一本釣りした天然鮮魚のお料理」

とテキストで伝えて、後はサーヴィス・スタッフが言葉で補完する方法だ。

これでお客様は出てくる料理の形まではとらえられないので実際に眼の前に料理がおかれた時には「美味しそーだな」と思われるような意外性があるとよいと思う。

それは食べ手の経験値にないプレゼンテーションをするしかない。
それが予測できないヴィジュアルだ。

逆にあってはならないのは、ビストロの業態で「ラタトゥイユ」と書いたら絶対にラタトゥイユの想像範囲を超えた料理を出してはならないということだ。

2020年4月26日日曜日

Metaphor 1

「料理におけるメタファーと詩学」(1)

我々のレストランには「ア・ラ・カルト」がない。
ご予約の時点であらかじめムニュ(コース)をお選びいただいている。
内容は全てお任せの「カルト・ブランシュ」だ。

今のところお客様がご来店されたら小さなメニューをテーブルに置いている。
そこで更に何か新しい文書のプレゼンテーションの方法を模索している。
メニュー・カードを置く、以外の新しい方法でだ。

レストランで料理をプレゼンテーションしたり実際に提供したりするとき、まずメディアを利用して文字情報を伝えておいたほうがより我々の意図を伝えやすい。
この時のメディアはだいたいの場合、「ムニュ(メニュー表)」ということになるのだがここで「仔鳩のロースト」と書いてあれば、お客様の体験値の中での「仔鳩の料理」を何となく想像されるに違いない。

しかしメニューの書き方はもっと違ったアプローチもあるのだ。
同じ鳩の料理でも僕は以前から好んで「飛躍する仔鳩」という言葉を使っていた。

更に「世界一美味しいフランス、ブレス産 ”飛躍する仔鳩のロティ” もも肉のコンフィ、ピノ・ノワールのソース」

のように色々な形容や修飾を取り入れ、更には少し専門的なフランス料理用語あえて用いて雰囲気をだす。言葉は盛り付けにも大きく影響してくる。

仔鳩は飛躍させなければならないからだ。


2016年5月30日月曜日

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