2015年10月14日水曜日

Amuse-Bouche, Amuse-Gueule ou Aperitif

[ Amuse-Bouche, Amuse-Gueule ou Aperitif ]

「アミューズ・ブーシュ」

日本では「お通し」とか「突き出し」と呼ばれている食前にお出しする小さな料理のことだ。
(向付けと相する言葉として)「先付け」という場合もある。

一説によると江戸時代にはもう存在していた。

関東では「お通し」と、関西以西では「突き出し」と呼ばれることが多い。

言葉としては「お通し」には料理屋側の、
「突き出し」にはお客様側の視点が反映されているようだ。

その昔、京都を中心に発祥した「茶懐石」の文化と、
その後、江戸時代の町民文化から生まれた「一品料理」では文化の本質が違う。

比較するには多様な考察が必要ではあるが、
「歴史の流れ」の中から生まれた差異なのだと思う。

さて、「アミューズ・ブーシュ」。

フランス語で「ブーシュ(Bouche)」は人間の口、
「グール(Gueule)」は動物の口やスラングとして人の口を指すこともある。

ちなみにフランス語で「黙れ!」は「Ta Gueule !」。
現在フランス料理界で「アミューズ・グール(言葉としては後発)」はかなり広く一般的に使われてはいるけれど、
「アミューズ・ブーシュ」の方が上記のような理由で上品とされている。

思うところある場合はムニュなどの表記を検討するのも良いかもしれない、
けれどお客様に理解されるかどうかというよりも料理人自身の問題かもね。(笑)

もともと「アミューズ」という言葉やその内容はムニュには表記しないものだった。
僕がフランスで働いていたころ、実際のレストランの現場では「アミューズ」のオーダーを調理場へ依頼する時、
「アペリティフ」と通している店も多々あった。

「ドゥーザペリティフ! ドゥー! スィルヴプレ!」

といった調子だ。

「アペリティフ」は食欲増進、食前の、という意味が本来で、食前酒とも使う言葉。

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飲食店の業種、業態などのカテゴリーによってお客様の反応や質も違うのだろうけれど、
例えば居酒屋さんで「お通し」が出てきた時に、

「これは無料ですか?有料!いらない!」
「注文してません!」

何て、言える人種がこの世の中に存在すると知って
外食文化に対する人間の種類の多様性に驚きを禁じえません・・・。(笑)