2016年1月22日金曜日

Chef's Kitchen vol.14 [6]

【 Menu "SANUKI no FOOD" and the History of FOOD 】

『讃岐の風土と食の歴史』

★地鶏、讃岐コーチンの新しい古典仕立て”バロティーヌ”「自己への巡礼」

香川県の地鶏である讃岐コーチンをフランス古典料理であるバロティーヌに。

古典と料理の世界でいう場合、ガストロノミーの古典をさすのだろう。郷土、地方料理とはやや分けて考えた方が良いかも知れない。
100年前から今日でも作り続けられ、食べ続けられている郷土料理を古典とは言わないからだ。しかし双方、受け継がれてきた結果、伝統としての存在感を兼ね備える。

ガストロノミーの古典はすなわちグランド・キュイジーヌだ。多くの料理が時代の変革の中、淘汰され姿を消してきた。
レストランのカテゴリーやあり方が人々の生活や習慣の中で多様化した結果、役割を終えるものがあるからだ。その中で今なお輝きを持ち続ける古典にはいったいどんな力があるのだろうか。

近年、料理人はその技術に化学的根拠を求め、緻密な仕事をするようになった。そしてデザインを重要視する傾向はまだまだ続きそうだ。
フランス、スペイン、イタリア、そして北欧、イギリス、アメリカと最先端と言われるレストランになるほど、デザインだけを見ていたら国籍の判別が難しい。
勿論ルセットを見れば随所に土地や人の感性が盛り込まれているのだけれど。

良い意味でボーダ・レスになり情報、技術、人材の共有化が進んだ半面、傾向を真似しただけのだ駄作が世に蔓延した。

そういう時には逆の方向に揺れるベクトルが働きバランスをとろうとするものだ。
いつも進むべき方向の修正を示唆してくれる羅針盤としての役割が「古典」なのだ。

古典は再現ではない。古典は出発点としての根拠を指示している道しるべ。僕たちは今、古典が進む未来への通過点にいるにすぎない。

今まで歩んできた料理人としての「自己への巡礼」そんな思いの一皿目の肉料理。

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讃岐コーチン股肉、オリーブ夢豚のファルス、赤ワインソース。